子どもの歯並び治療 床矯正装置と機能矯正装置の違い
子どもの歯並び矯正の相談をされたことがある方なら、床矯正装置は聞いたことがあるかもしれませんが、機能矯正装置というのは聞いたことがないかもしれません。
ただ、最近では機能矯正装置の1種のマイオブレイス(T4Kなど)やプレオルソといった既成の取り外し式の上下一体型の装置などが色々な医院で行われるようになり、機能矯正装置という言葉を知らないだけで、すでに目にはしているかもしれません。
床矯正装置も機能矯正装置もご存知の方も、そうでない方でもわかるようにご説明いたしますので、どうぞご覧いただければと思います。
床矯正装置と機能矯正装置
床矯正装置と機能矯正装置というのは、6〜10歳程度の子どもに使用する取り外し式の顎を広げる装置のことを言います。
この2つの装置の共通する主なメリット・デメリットについてお話しします。
床矯正装置と機能矯正装置のメリット・デメリット
メリット
・上顎が成長する時期に顎を広げていくことで、歯並びを改善してく
・顎を広げていくことで、なるべく抜歯をしない矯正にする
デメリット
・取り外し式なので、毎日寝るときに装着をしないと改善していかない
・上顎の成長期(6〜10歳)からでなければ始められない
機能矯正装置を用いた治療には、先にも述べたマイオブレイス(T4Kなど)やプレオルソやキレイラインKIDSなどの装置だけでなく、他にも様々な機能矯正装置がございます。
ネオキャップ&ビムラー装置
当医院では基本的に数ある機能矯正装置の1つのビムラー装置とネオキャップ装置を組み合わせたネオキャップ&ビムラー装置を用いて子どもの治療を行っております。
その理由については、【子どもの歯並びはマウスピース矯正で治療できるのか】で、マウスピース矯正、床矯正装置、機能矯正装置の中で当医院がなぜ主にネオキャップ&ビムラー装置で子ども矯正治療をするかの理由についてお話しさせていただいておりますので、一緒にご覧いただければと思います。
そのため、ここからは床矯正装置と機能矯正装置の1種であるビムラー装置についてお話しさせていただきます。
床矯正装置とビムラー装置
この2つの装置は似ているのですが、基本的に顎の広げ方に大きな違いがあります。
床矯正装置は、上下別々に人工的な力(ネジの力)で歯並びを広げていく装置。
ビムラー装置は、上下一体型で子どものお口に周りの筋肉を利用して顎から広げていく装置
どちらにもメリット・デメリットがあり、どちらが良い悪いではなく、歯科医師の考え方やそれぞれのご家庭の考え方によりどちらを選択したいかだと思います。
ビムラー装置を用いる理由
私たちの医院では、子ども矯正に床矯正装置よりなるべくビムラー装置を用いて治療を行うことが多くございます。その主な理由は3つです。
① 子ども自身のお口の周りの筋肉の力によって顎を広げていく
② 上下一体型の装置である
③ 子どもも管理する親も楽
① 子ども自身のお口の周りの筋肉の力によって顎を広げていく
頬や唇や舌といったお口の周りの筋肉を利用して、顎を広げていくことができるのが機能矯正装置です。
床矯正装置は人工的(ネジ)な力で拡大していくので、どこまで拡大できるかという目安が平均値となり、人によってはお口の周りの筋肉と調和のとれない拡大をされてしまう可能性があります。また、人工的な力で広げるので、痛みも生じることがございます。
一方、ビムラー装置は子ども自身の本来ある力を利用するので、痛みがほぼなく、お口の周りの筋肉のバランスを整えながら調和した広がり方をするため、後戻りのしづらい自然な歯並びとなるのもこの装置を使った治療の特長の1つともいえます。
口の周りの筋肉を利用した歯並び治療する必要がある理由については、詳しくは【なぜ歯並びが悪くなるのでしょう?】をご覧下さい
② 上下一体型の装置である
床矯正治療は上下別々に顎を広げていく装置ですが、ビムラー装置は上下一体型となっており、上下のバランスをとりながら顎を広げていく装置になります。
床矯正装置の場合は、一般的には治療後に大人の矯正を行う準備としての治療なので、上下別々に拡大していきます。
一方、ビムラー装置は上下一体型となっており、上下の顎の成長や歯並びのバランスをとりながら治療し、この装置1つで問題無い程度まで歯並びを改善していくことを目標にします。
③ 子どもも管理する親御様も楽
管理する親御様が楽という点は矯正治療のような期間の長い治療には大切なことです。
床矯正治療の場合、毎日装着して寝るように言うだけでも大変なのですが、4〜7日に上下の装置のネジを1回まわすという作業がずっと続きます。その度に、人工的な力が歯にかかるので、装着時の痛みなどが出てきてしまい、嫌がるということを経験されることがあると親御様からお伺いいたします。
一方、ビムラー装置は毎日装着して寝るように言っていただくことは変わりないのですが、それ以外に親のすることはありません。子どもも人工的な力もかからないので、痛みはないので子どもも楽です。
矯正を担当する私たち歯科医師(兄弟)も2児の親なので、矯正治療を子どもにさせたくても、痛くて子どもに負担にならないかな、親子ともに治療を続けられるかなと心配になるのではないかと思います。
そのため、子どもにとっては痛くなく、親御様にとっては子育てのさらなる負担にならない様な治療法という点も子どもの矯正治療では重要な要素になると考えております。なるべく1つの装置で矯正が終わるようにと当医院ではビムラー装置という装置を用いて子どもの矯正治療にあたっております。
※当医院では、他にも別な機能矯正治療、床矯正治療、3Dリンガル矯正治療、スタンダードエッジワイズ治療、マウスピース矯正治療といった選択肢もございますが、年齢や状態、求める治療結果により、適切な矯正方法をご提案させていただいております。
ビムラー装置は、医療先進国ドイツで開発
ここからは2児の親としての視点ですが…。
そもそも医療先進国ドイツのビムラー博士によって開発され、この装置1つだけで何千何万人もの子どもや大人たちの治療をされてきた歴史がございますので、子ども矯正はネオキャップ&ビムラー矯正だけで矯正治療を終わらしてあげるのが一番子どもにとって楽だと思います。
子どもに矯正をする経済的な負担を考えても、通常の床矯正とブラケット矯正1人分の治療費でネオキャップ&ビムラー矯正治療であれば2人分の子どもの矯正ができるというのも大切です。
お子様の歯並びでお悩みがございましたら、一度お気軽にご相談いただければと思います。
最後までご覧いただき有難うございました。
佐藤歯科矯正歯科医院 (宮城県 仙台市 岩沼市 亘理郡)