次に、なぜ歯並びが悪くなるのか?をお教えします。
なぜ歯並びが悪くなるのだろうと考えたこと、教えてもらったことはありますか?
歯並びが悪くなる原因について、親からの“遺伝”と漠然と考えていらっしゃる方も多くいらっしゃるかもしれません。
もちろん、その可能性は十分にあると思います。今回は歯並びが悪くなる他の主な2つの原因、
について、お伝えしたいと思います。
食生活がどれだけ歯並びに影響しているかという事をお伝えするために、『食生活と身体の退化―先住民の伝統食と近代食その身体への驚くべき影響』という本を書かれたプライス博士の研究についてお話させていただきます。
プライス博士はさまざまな地域で歯並びについて研究されていたのですが、その本の中に、先住民族の伝統的な食生活(栄養バランスのいい硬い食事)をされている人は歯並びや虫歯の問題などがほとんどなく、先住民族でも近代食(栄養のバランスの悪い軟らかい食事)をしてしまった人は、その子孫に至るまで歯並びが悪く、虫歯にもなりやすい傾向にあると記載されておりました。
食がすべて歯並びを悪くしたとは思いませんが、私達日本人は離乳食のころから軟らかいものを食してしまっているのは事実です。 私を含め、軟らかいものは美味しいものという感覚さえあります。
しかし、子どもの頃からあまり軟らかいものばかり食べてしまうと、顎の発育がきちんとなされずに、小さな顎が出来上がってしまいます。そのため、すべての歯が生えたころには、その小さな顎に歯が入りきらなくなり、歯並びが悪くなってしまうのです。
余談ですが、歯並びは“遺伝”だと感じている方がいらっしゃるかと思います。 子どもの食生活は親の食生活に似ていますので、食生活というのは大きな意味では親からの習慣の遺伝とも言え、子どもへ遺伝してしまった食生活の習慣を変えることはなかなか難しいかと思います。
そこで、当医院の小児矯正治療は、歯並びを改善することを目的とするだけでなく、歯が悪くなってしまうもともとの原因の1つである、顎の成長不足を改善するための矯正治療を行ってまいります。
最近の子どもたちの傾向として、口呼吸やアレルギーといった問題がよく見受けられます。この2つも食生活と同じように、歯並びが乱れてしまったり、顎の成長悪くなってしまったりする原因になります。
なぜ口呼吸をすると、
歯並びが悪くなるのでしょうか?
一時間めでお話したように、基本的に歯並びを決めるのはその周りにある筋肉なのです。(参照:なぜ顎の骨の成長が悪くなってしまったのでしょう?)
このお口の内側と外側の筋肉が互いにバランス良く働いていると歯並びは良くなります。
しかし、口呼吸のお子さんはどうでしょうか?
お口をぽかんとしているということは、唇の筋肉がきちんと働いておらず、舌の筋肉しか前歯にかかってきません。
そうなると、舌の筋肉の力(歯を内側から外側に押し出す力)だけが歯にかかり、前歯が出っ歯のような状態になることがございます。
このように、口呼吸をすることで、歯並びが悪くなってしまっているお子さんが非常に多くいらっしゃいます。
口呼吸が与える身体への悪影響としては、下記のようなことがあると言われています。
また、口呼吸をしている子どもは、口がいつも開いている、口を開けて寝ている、鼻が詰まっている、いびきをよくするといった特徴がございます。
口呼吸になってしまう原因は?
口呼吸の原因は外見からは判断できないため、セファロレントゲン検査やアレルギー検査などを行う必要があります。 セファロレントゲン検査では、口蓋扁桃の腫れやアデノイド(咽頭扁桃)の肥大などにより空気が通る管である気道が閉塞されているかどうかを調べる事ができます。
気道が閉塞されていると、鼻呼吸はできなくなり、口呼吸をし始めます。
そして、この口呼吸により、先ほど述べさせていただいたような身体への悪影響が生じてしまうのです。
また、気道を閉塞させる原因としてアレルギーの問題などもございますので、その場合は食物アレルギーの検査が必要になることもございます。
そこで、当医院の小児矯正治療は歯並びを改善することを目的とするだけでなく、口呼吸から鼻呼吸への改善、時にはアレルギー検査等も行いながら子どもの矯正治療にあたらせていただいております。
歯並びが悪くなる主な2つの原因、子どもの今までの食生活の問題、口呼吸やアレルギーの問題についてお伝えさせていただきましたが、遺伝の問題も含めて歯並びが悪くなる原因は数多く存在します。
当医院ではできるだけ歯並びが乱れてしまう根本的な原因を把握しながら、子どもの矯正治療にあたらせていただければと思っております。