子どもの歯並びはマウスピース矯正で治療できるのか
最近、矯正治療はワイヤーとブラケットという金具を使用した矯正治療から、見た目にもいいマウスピース型の矯正治療へと治療法が変化してきております。
そのため、子どもの矯正治療でもマウスピース矯正治療を子どもにさせてあげたいと思われるのではないでしょうか。
※既成のマウスピース型の矯正装置、マイオブレイス&トレーナーシステム(T4Kなど)、プレオルソなどは厳密にはマウスピース矯正ではなく、機能矯正治療で用いる矯正装置の1種です。
結論から言いますと、小学生などの子どもからマウスピース矯正治療できるシステムはありますが、当医院では大きな1つの理由から11歳以下の子どもにはマウスピース矯正は行っておりません。
マウスピース矯正を行っていない理由
その理由とは、本来その子どもが持つ顎の成長を妨げてしまう可能性があるという点です。
マウスピース矯正治療は1日20時間ほど歯にぴったりと装着されます。
これは大人のように成長が止まった方を矯正するためには非常に重要なことなのですが、成長している最中の子どもには逆に顎の成長を阻害してしまう方向に働いてしまう可能性が出てきてしまいます。
子どもの上顎の成長は11歳前後にピークを迎え、下顎は13歳以降にピークを迎えます。
そのため、少なくとも11歳以下の子どもにはぴったりしたマウスピース矯正治療やワイヤーとブラケットの矯正のような多くの歯を連結し固定する矯正治療は当医院では行わないようにしております。
成長のある子どもにはどのような矯正治療がいいのか
歯を連結し固定しない矯正治療がベストだと考えています。
歯を固定しない子どもの矯正には大きく分けて床矯正装置、機能矯正装置などがあります。
どちらとも取り外しの矯正装置装置なので、成長を阻害する可能性は少ないというメリットがありますが、装着しないと治らないというデメリットもあります。
ただ、子どもの成長のことを考えると、このどちらかの矯正治療が11歳以下の子どもには有効であると考えられます。
欧米など子どもの頃からの歯の予防に力を入れている国々では、成長を考えた機能矯正装置を用いた矯正治療が主流となっております。
子どもの成長を利用していく矯正をするという点から、当医院では主に機能矯正装置を用いた治療を選択しております。
機能矯正装置を用いて治療を行う主な理由
子ども矯正に床矯正装置ではなく機能矯正装置を用いて治療を行う主な理由は3つです。
① 子ども自身のお口の周りの筋肉の力によって顎を広げていく
② 上下一体型の装置である
③ 子どもも管理する親御さんも楽
この3つの理由については詳しくはこちらをご覧ください。
機能矯正装置の種類
機能矯正装置には多くの装置が存在します。
(※ビムラー、フレンケル、ムーアプライアンス、ムーシールド、アクチベータ、アクチバトール、FKO、バイオネーター、マイオブレイス、プレオルソなど多数あり、症状により使い分けをします。)
床矯正装置や様々な機能矯正装置を学んで使用したりすることもございましたが、痛くない、異物感が少ない、子どもも管理する親御さんも楽、適合がいいといった装置でなければ子どもに毎日の生活で使っていただけなくなるという経験をしてきました。
そこで出会ったのがドイツ式のビムラー矯正装置と日本で考えられたネオキャップという装置を用いた矯正治療です。
ビムラー矯正装置とネオキャップ装置
この方法は、痛くない、異物感が少ない、子どもも管理する親御さんも楽、適合がいいといった4つの項目をクリアしつつ、子どもの色々な歯並びのお悩みに対応可能なため、現在ではこの治療法を主に行っております。※もちろん、対応困難な症例の場合には別な装置を選択する場合もございます。
最後に
11歳以下の子どもにはマウスピース矯正は選択いたしませんが、中学生以上の成長が止まった方にはとても有効な治療ですので、“顎の成長”という点がマウスピース矯正の適応できるできないのポイントになってくるかと思います。
歯並び治療を始める年齢や状態を診ながら、適切な治療をご提案できればと思いますので、お子様の歯並びでお悩みがございましたら、一度お気軽にご相談いただければと思います。
最後までご覧いただき有難うございました。
佐藤歯科矯正歯科医院 (宮城県 仙台市 岩沼市 亘理郡)