子供の受け口の矯正治療の方法、時期、期間、費用について
“受け口”とは、上の前歯と下の前歯が逆になってしまっている状態のことです。
受け口の状態
“受け口”は子供の「歯並び」の問題だけではなく、「しゃくれた顔」といった顔の形などの問題も引き起こしてしまう可能性があるため、多くの親御さんが非常に気にされるのではないでしょうか。
この記事では受け口について知っておきたいことをまとめてご紹介いたします。
■目次
- 将来、問題になるのは見た目だけではない!?
- そもそもなぜ“受け口”になってしまったのか?
- いざ、子供の受け口の矯正をしようとすると…
- 矯正を始める時期は、なぜ歯科医師の間でも考え方が異なるのか
- 早期の治療は、より良い成長になる可能性を高くする
- 子供の受け口の矯正方法
- 子供の受け口の治療の手順(仮称:佐藤くんの場合)
- 治療期間について
- 受け口の矯正の費用について
- まとめ
- 仙台の情報誌“りらく”に佐藤歯科の受け口矯正が掲載されました
将来、問題になるのは見た目だけではない!?
歯並びや顔の形といった目で見える問題だけでなく、口の機能(噛むなど)にも問題を抱えてしまうことがございます。
例えば、発音がしづらい、しっかりと噛めない、虫歯や歯周病になりやすい、顎関節を痛めやすいといった機能的なところにも影響が出る可能性がございます。
そもそもなぜ“受け口”になってしまったのか?
多くの場合、「お父さんやお母さんが小さいころ“受け口”だったんです」というような遺伝が原因となるのですが、それ以外でも受け口になる可能性ももちろんございます。
どのような原因でも共通して言えるのは、歯並びに影響する「舌」の運動に問題があるために“受け口”のような歯並びの乱れを引き起こしているのです。
本来、モノを飲み込む時は舌の先端が上顎の前歯の後ろあたりにくっつき、「ごっくん」と飲み込む時に「舌」が上顎を前や横に押し広げます。
唾液や食べたものを飲み込む回数は、1日平均1,200〜2,400回とされています。
つまり、正しい「舌」の運動で飲み込んでいれば、その回数分だけ上顎を前や横に押し広げる力かかり、理想的な顎の成長を促します。
一方、受け口のお子様の場合、どうしてもこの「舌」の運動が上手くできません。
そのため、上顎が成長しきれていなかったり、下の前歯が上の前歯よりも前に出てしまうため“受け口”になってしまっています。
いざ、子供の受け口の矯正をしようとすると…
お母さんお父さんが子供に“受け口”の矯正治療をしようとすると「いつから矯正をスタートさせたらいいの?」という悩みが出てくるかと思います。
「今はまだ様子を見た方がいいですよ」「永久歯になったら治療を始めましょう」と説明する歯科医師もいたり、佐藤歯科矯正歯科医院のように「なるべく早くから治療をした方がいいですよ」と説明する歯科医師がいたりします。
他にも“受け口”に対する考え方がインターネットの情報で様々得ることができるので、「いったいどれを信用すればいいの?」と真剣に悩まれるのではないでしょうか。
矯正を始める時期は、なぜ歯科医師の間でも考え方が異なるのか
それには理由が2つございます。
・1つ目は、自然に“受け口”が治ってしまうことがあること。
乳歯だけの“受け口”の場合、前歯が永久歯の生え変わる時期に“受け口”も改善するということがございます。
そのため、佐藤歯科矯正歯科医院では、乳歯だけの“受け口”の場合は、前歯が永久歯に生え変わる時期(6歳頃から)まで経過を見させていただいております。
そして、前歯が永久歯に変わっても“受け口”が治らない場合は矯正治療をご提案しております
・2つ目は、早くから矯正治療をしても再び“受け口”になることがあること。
これは説明が難しいのですが、いくら早期から矯正治療をしても、下顎の成長が止められないくらい大きく成長し、再び“受け口”になることがございます。
そのため、早い時期に受け口の矯正治療をしても、成長が終わる18歳まで経過を見させていただくことが必要になる場合がございます。
こういった理由などから、色々な考え方をされている先生方がいらっしゃいますので、「この先生の考え方が一番、合っているな、理解できるな」と納得された歯科医院で治療をされることをおすすめいたします。
早期の治療は、より良い成長になる可能性を高くする
上顎の成長は、10歳まででほぼ成長がストップします。
そのため、受け口の治療では前歯の永久歯が生え変わり始める6歳から10歳までの間に受け口の治療を開始することをおすすめしております。
この期間であれば、矯正で歯並びに影響する「舌」の運動を正しくさせることにより、より自然に顎の成長を促してあげることが可能となります。
佐藤歯科矯正歯科医院では、“成長を利用した子供の矯正治療”を目指しております。
※12歳を過ぎて放置してしまうと抜歯をする矯正治療となってしまったり、最悪の場合、顎切りの手術を伴う矯正治療をしなければならなくなる可能性が高くなってきてしまいます。
子供の受け口の矯正方法
受け口を治療する場合、噛み合わせの高さが低なってしまっていることの改善、上顎の前歯よりも下顎の前歯が出ていることの改善をする必要がございます。
当医院では6歳から10歳の受け口の子供の矯正治療には、ネオキャップ&ビムラーという矯正方法を用います。
Bimler(取り外し式のビムラー装置)とネオキャップ(歯にかぶさる固定式のキャップ)
歯並びというは3次元的に治療をしていくことが重要になります。
取り外し式のビムラー装置は水平的な歯並びの改善、固定式のネオキャップは垂直的な歯並びの改善を目的とすると同時に、その2つの装置により舌の筋トレを行っていくことが可能となります。
子供の受け口の治療の手順(仮称:佐藤くんの場合)
■1.低くなった噛み合わせを高くする
ネオキャップと呼ばれる固定式のキャップを乳歯の奥歯にセットすることで、噛み合わせの高さを高くします。
噛み合わせを高くすることでお口の中の容積が大きくなるため、唾液やモノを飲み込む時は以前より舌の筋肉を必要としますので、次第に舌に筋肉が付いていきます。
佐藤くん 平成26年2月26日 (始めの受け口の状態)
佐藤くん 平成26年3月26日(ネオキャップ装着した日)
佐藤くん 平成26年4月22日(ネオキャップ装着から約1ヶ月)
■2.舌の筋肉がついてきたら、ビムラー装置の使用開始
ネオキャップを装着した1ヶ月後くらいに、取り外し式のビムラー装置を使用していただきます。この装置は夜寝る時だけ装着するものです。
お口の中でプカプカと浮いており、お口を開けると落ちてくるため無意識に舌で装置を上に持ち上げたりすることで舌の筋トレを行います。また、この装置は寝ている時に唾液を飲み込むことで舌が上顎を押し広げるサポートをします。
ビムラー装置は子供に用いる一般的な床矯正装置(上と下が別々の装置)とは異なり、上下を一緒に矯正する装置となっております。上と下の歯を一緒に矯正できるのものこの装置の特徴です。
佐藤くん 平成26年4月22日(ビムラー装置使用開始)
■ビムラー装置
佐藤くん 平成26年7月23日(ビムラー装置使用から3ヶ月)
佐藤くん 平成28年5月30日(ビムラー装置使用から約2年の治療途中)
以上のような手順でネオキャップ&ビムラー矯正治療を行っていきます。
見ての通り、ネオキャップというキャップはかぶさってはいますが、金具をつけてワイヤーで歯並びを治してはいませんので、見た目にも矯正治療をしているようには他の人からは分かられないのも特徴の1つです。
ネオキャップ&ビムラー矯正治療の利点・欠点
■利点
成長に合わせた治療!だから・・・
・抜歯を前提としない治療ができる
・治療後の顔が自然になる
・より自然な歯並び、噛み合わせになる
・治療後の後戻りが少ない
・口呼吸が改善する
・指しゃぶりなどの癖が治る
・取り外しができる!だから…
・基本的に寝る時と夕方2~3時間だけつける
・人知れずに矯正ができる
・痛みがない
・精神的、肉体的なストレスを感じにくい
・日常生活に不便がない
・虫歯になりにくい
■欠点
・取り外し式の矯正治療なので、きちんと毎日夜寝る時に装着しないと治りが遅い
・成長を利用した治療のため、12歳以降の年齢だと治りが遅くなる
このような利点・欠点があるので、当医院では6歳から10歳ごろの子供に用いることでより楽に治療をすることをすすめております。
治療期間について
ネオキャップ&ビムラー矯正治療は子供の成長を利用した治療のため、基本的には治療期間としては約4年を考えております。
ビムラー装置は毎晩寝る前にはめて寝る装置となっておりますので、きちんと着けて寝るお子さんは比較的早く改善しますが、なかなか着けて寝ないお子さんの場合は治りが遅い場合がございます。
受け口の矯正の費用について
6歳から10歳頃からの矯正治療であれば、基本的にネオキャップ&ビムラー矯正治療が適応となります。
この治療のみの場合、費用は診断料5万円、治療費45万円となっております。
また、月に一回程度、歯並びの測定やクリーニング等を行わせていただきながら、調整をさせていただきます。
調整料は月に一回2,000円からとなっております。
主には2,000円となりますが、ビムラー装置の修理などの場合などがありますと5,000円程の費用がかかることもございます。
10歳以上の子供の場合は、拝見させていただいてから、ネオキャップ&ビムラー矯正または他の矯正治療を選択させていただいております。
費用は矯正治療の方法により異なりますので、ご説明の際に詳しくお伝えさせていただきます。
まとめ
子供の矯正治療で多くのお父さんお母さんが気になることは、主に4つございます。
・治療のスタート時期
・どのような装置を使うのか
・治療の終わりはいつになるのか
・費用はどれくらいかかるのか
今回はこの4つの点を中心にご説明させていただきました。
もちろん、歯並びの状態や症状は子供ひとりひとり異なっていますので、他に気になる点がございましたらご相談ください。
子供の矯正治療に不可欠なのは、親御さんの子供の歯並びを治してあげたいというお気持ちはもちろんなのですが、一番は子供自身が歯並びを治したいと“やる気”になることです。これが子供の矯正治療にはとても重要です。
そのため、子供のやる気が続くように「子供の矯正治療はできるだけ痛くなく、楽にできる矯正治療でなければならない」と佐藤歯科・矯正歯科医院では考えております。
当医院では20年以上様々な矯正治療を行ってまいりましたが、結果的により子供に負担の少ない、子供の成長を利用したネオキャップ&ビムラー矯正を採用させていただいております。
この矯正治療は治療の質を保つために、3年に1回の認定施設の更新をクリアした医院のみで行われている特殊な矯正治療です。また、当医院は宮城県で初めての、ネオキャップ&ビムラー矯正の認定施設となっております。
受け口のご相談は佐藤歯科へお気軽にどうぞ
子供の受け口がお悩みで治療をされるお友達は多くいらっしゃいますので、お悩みがございましたら、ぜひ一度お気軽にご相談いただければと思います。
仙台の情報誌“りらく”に
佐藤歯科の受け口矯正が掲載されました
去年の10月号に引き続き、仙台の情報誌「りらく」に掲載していただきました。
前回は子どもの矯正ネオキャップ&ビムラーに関してでしたので、今回はより深く
「子供の受け口矯正について」お話をさせていただきました。
佐藤歯科矯正歯科医院 (宮城県 仙台市 岩沼市 亘理郡)